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Hello WorldからAIプロンプトへ - 変わりゆく新人エンジニアの成長物語

  • ryotaharuki0
  • 3月16日
  • 読了時間: 5分

イントロダクション


AIエージェントによって、ソフトウェアエンジニアの仕事が奪われるのではないか、という話題をよく聞くようになってきました。


実際、YoutubeでDevinやClineなどのAIエージェントの紹介動画を見ていると、簡単なアプリケーションであれば、指示した内容をもとに自律的に「それなり」のものを仕上げてしまうので、プログラミングに精通していない初級エンジニアを雇うよりもコストメリットはありそうに感じました。


一方で、2020年から始まったプログラミング教育必須化の成果により、学研教育総合研究所調べでは、男子中高生の将来就きたい職業の第1位にエンジニア・プログラマーが選ばれ、また、2025年の大学入学共通テストでもプログラミング能力が問われる「情報Ⅰ」が新設されました。


AIエージェントが盛況を博している中で、これから夢を見てIT業界に飛び込んでくる若手エンジニアが、現場でどのように業務と向き合っていくのか。これまでの初級エンジニアが歩んできた道と、何がどう変わっていくのだろうか。私の経験を踏まえ、遠くない未来を考察してみます。


「Hello, World」の感動は置き換わる


「Hello, World」を表示させるだけのプログラムを作るチュートリアルを行うのは、多くの初学者が通る道で、参考書などをもとに手探りで試行錯誤しながら、最初に自分が書いたプログラムが動くことに感動を覚える人も少なくないでしょう。


私も新米エンジニアの頃は、現場作業で担当した小さなモジュールが、最終的にプロダクトの一部として機能することに、達成感を感じてきたし、誇らしくも思えていました。

ここ2、3年間でAIエージェントは開発現場に浸透してきており、自らプログラミングしなくても、一通り動作するアプリケーションが自動で作成されるため、ゼロの状態から試行錯誤する必要もなくなってきています。


これからの新人エンジニアたちは、キーボードをカタカタと打って最後にエンターキーをターン!と強打して、うまくプログラムが動いたときにドヤる喜びは失われていき、代わりにAIに効率よく指示を出して期待する結果を得ることに達成感を抱くように変わっていくと想定します。


一方で、変わらない感動もあると思います。

私が現場で難解な問題にぶち当たったとき、以下の作業を繰り返して、最終的に解決した時は大きな喜びを感じました。


  1. いろいろなサイトをググったり、技術書を読み漁る

  2. 帰宅途中の電車の中や帰り道歩いている最中に悶々とする

  3. 帰宅後の風呂の中や布団の中で悶々とする

  4. もしかしたらこうすればうまくいくのでは、という仮説を思いつく

  5. 翌日試して、やはりうまくいかなくて悶々とする


AIが作成したプログラムがうまく動かなかった場合、ググるよりもLLMに聞き、技術書をRAGとしてLLMに読み込ませて問い合わせる点は変わるとしても、おそらくは同様の苦しみと喜びを覚えることになるでしょう。


価値を出すレイヤが上がる


AIも万能ではなく、作成するプログラムがセキュリティ、スケーラビリティ、ユーザビリティ、保守性などの面で問題があるケースがあります。AIのミスを指摘できるようになるためには、一定数開発経験を積み、専門的なアーキテクトの知識を身につける必要があるため、新米エンジニアには厳しいです。


これからは、経験の浅い新米エンジニアといえど、効率の良いプロンプトを設計して、いかにトークン消費量(コスト)を抑えて、ハルシネーションによるバグ発生などの品質低下や作業遅延が発生しないよう、AIに作業指示できるかのマネジメント能力を問われるようになってくると想定します。


一昔前の開発現場での話ですが、ユーザー系SIerの新米プロジェクトマネージャが、苦労しながらわれわれ外部委託先のエンジニアたちをマネジメントしてた姿を思い出します。その新米プロマネは、新卒1、2年目くらいまではわれわれに交じってプログラミングやテストをしていましたが、先輩から、「いつまでプログラミングなんてしているんだ、そんなことは休日に趣味としてやれ」とからかわれて、ある時期からわれわれを管理する側に回っていました。


AIエンジニアも、プロマネと同じで、AIによって作成された成果物が要求通りの仕上がりになっているか管理し、問題が発生すれば専門的な知識を持っているエンジニアに力を借りて課題を解決していくことを繰り返し、隙間時間にプログラミングやアーキテクトを学んでいくことになると想定します。新米エンジニアは、単なる作業者ではなく、最初からリーダーやマネージャのポジションとして立ち回ることが求められるようになってくると思います。


まとめ


昨今の男子中高生が思い描くエンジニア像が、映画やアニメに出てくるハッカーのように、プログラミングを駆使して難解な課題解決していくものであれば、彼らが社会に出るころには実態と乖離しているだろうし、大学や専門学校でも授業課題にプログラミングではなくAIエンジニアリングが重要視されるようになってくるとは思います。


ただし、プログラミング能力が全く無用になることはありません。AIが作成した成果物の問題点を発見するために継続して学んでいく必要があります。


世間ではエンジニア不足と騒がれていますが、AIエージェントの誕生により改善されていくでしょう。開発未経験でも高収入が得られると煽る広告も減っていき、経験の浅い新米エンジニアが参画できるようなプロジェクトも減っていくと想定します。


生き残っていくためには、AIエンジニアとして、AIをチームメンバーとしてうまくコントロールする技術をいち早く身につけ、時間を見つけて業務ドメイン知識や情報工学の知識を学んでいく必要があります。

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